【サイゴノキセキ】

お題提供:空色ビタミン26

 

 

 

僕は生徒会室の一角で、ルルーシュから貰った箱を眺めていた。


止めどなく溢れる涙が頬を伝う。
他の生徒会メンバーも、各々にうつ向き涙していた。



「涙が止まらないんだ」



そう打ち明けると、さらに溢れだす涙。
僕は顔を歪めて、みっともなく泣く事しか出来なかった。













数週間前に、突然ルルーシュが入院した。


「ただの検査入院だよ」


風邪で訪れた病院から、「このまま入院する」と報告を受けた僕は、居ても立ってもいられなくて、軍務を終えた後すぐに病院へと向かった。
軍の系列病院であったので、ルルーシュが本当の事を言っている事は既に確認済み。
「ルルーシュ・ランペルージを見張る」、これが僕に与えられた仕事だから。
それでも、ルルーシュが不安そうにしている顔を思い浮かべると、心配で仕方なくて。
僕の上司、シュナイゼル殿下に事情を話すと、ルルーシュが退院するまでは何時もより早く帰る事を許してくれた。



ナースステーションでルルーシュが居る病室番号を尋ねる。
病室の前まで行くと、明らかに豪華な作りの個室だった。
しかも角部屋。



「これは・・・・・」



殿下の仕業だな。
そう思いつつドアをノックすると、中から「どうぞ」と声がした。


「こんばんわ、ルルーシュ」

その挨拶にはまだ早いが、夕陽の差し込む時間は、既にこんにちわの挨拶も可笑 しいかな、と思いそう挨拶した。

「医者か看護師かと思った」

驚いて振り向いたルルーシュの顔は、夕陽色に頬が染まっていて凄く綺麗だった。
これで駆けよって来てくれたら更に可愛いんだけどな。


「うん、僕でした。寂しかった?」


さっきの半分くらいにルルーシュとの距離を縮めて、両手を広げる。




おいで。




声には出さずに言うと、目線を反らし少し考えてから近づいて来て、僕の肩に顔 を埋めた。
半分譲っても、思惑通り。
抱き締めて、頬をすりよせると「くすぐっ たい」と笑い混じりに言う。
本当に可愛い。



「で、お前は仕事をサボって何しに来たんだ?」


抱き締められたままのルルーシュは、僕の髪で遊びながら問うてきた。
君が心配 だったんだよ。
大きく溜め息を付いて、強く抱き締める。

「スザク、苦しい」

そう言いながらも、拒絶はしない。
可愛いルルーシュ。
もっと、って言ってくれればいいのに。
もう一度力を加えて抱き締めてから、ルルーシュを開放する。
満足そうな顔をしたルルーシュを見ると、嬉しくなって僕も笑う。


「検査入院って?」


此処から先の情報は、本人から聞くように、と殿下から指揮を受けたので知らなかったのだ。


「実は、風邪をひいてな。咳が続くから、一度診て貰ってこいってロロに怒られて、それで。」
「何日位かかりそうなんだって?」
「早くて1週間だそうだ。なんでも、検査の予約が一杯で、なかなか順番が回って来ないんだとか。」

なら帰らせろ、と少々不機嫌になりながら交渉したところ、暫く後にこの部屋を格安で提供するから何とか折れてくれ、と懇願されたそうだ。
どうせその差額は軍負担ですからね。
それで折れたルルーシュもルルーシュだよ。
でも、検査しなきゃいけないなら、きっちり検査して貰いたい。
心配をよそに、早く軍務に戻れと宣う我が愛しの君。




「僕、暫くは此処に寝泊まりするからッ」

拗ねたように言うと、ルルーシュは少し困惑したような顔をしていった。
「なっ、バカか!?」
夜遅くに帰って来られても、看護師さんに迷惑かけるだけだろ、とか、軍務は仕事なんだからきちんとしろ、とか、それじゃ体が休まらないだろ、とか・・・・・・・!
最後のは嬉しい!
思わず怒り続けるルルーシュに抱きつく。

「嬉しいよ、ルルーシュ。心配してくれてるんだね!」
「バカ!都合の良い所だけピックアップするな。」
「でもね、ルルーシュ、僕ちょっと怒ってるんだ。」

声のトーンを落として耳元で囁くと、肩が震えた。
肩を掴んで少し離れると、ルルーシュは視線を外す。
両手で顔を挟み再び視線を合わせると、ルルーシュの瞳が揺れた。

動揺してる。



「僕だって君の事、心配してるんだよ。それに気付かないなんて・・・・」


語尾が濁る。
今度は僕が視線を反らす番。
そんな僕の手にルルーシュの手が重なり、それにびっくりした僕はルルーシュと視線が合う。






あ、ダメだ。










全部バレてる。

不敵な笑みを浮かべたルルーシュは、勝ち誇った顔をしていて少し悔しくなる。
言葉では勝目はなかったんだっけ。
ちえ、また騙された。
それでも笑う僕は、ルルーシュに噛みつく様にキスをして其のままベッドに押し倒す。
抵抗出来ない様に両腕をベッドに縫いつける。
此処は僕のテリトリー。
泣くのは君の番。















君はキスと抱擁が好き。
僕はセックスが好き。

 

 

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【2008/7/18】だって君と繋がっていられるから。

続きます;

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