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*一時の迷い
「おぃ、スザク!起きろ!お散歩の時間ですよッ!」 シャッ、とカーテンが勢い良く開く音と共に朝日が舞い込む。 そうか 昨日はルルーシュの家に泊まったんだっけ。 片思いの人に起こされるなんて、幸せだ!と思いながら声の主に視線を向ける。 「・・・?」 見慣れぬ眼鏡を掛けた友人。 思わず浮かんだ疑問符と質問。 「ルルーシュ、その格好、何?」 凄い威力だ・・・いやいや、そうじゃなく。 「ただのメイド服じゃないか」 そして、その次の言葉にまた驚く。 「ユフィお嬢様デザインの」 「・・・!?」 「何を驚いている?」 それより、起きたらまず挨拶!とたしなめられて 「お、はようございます?」 ぎこちなく挨拶をする。 何かが何時もと違う。 否 何もかもが何時もと違う。 眼鏡を掛けたメイドなルルーシュ。 ユフィを「お嬢様」と言うルルーシュ。 そして手に持つアイテム。 これは・・・、 「ほら、お散歩に行きますよ」 手に持ったそれを僕の首に掛けようとする。 「ちょ、ちょ、ちょっと待った・・・!」 静止をかけると怪訝な顔をされる。 その顔をしたいのは僕なんだけど、という言葉は飲み込んで、取り敢えず質問することにした。 「お散歩って!?」 「日課だろ」 なおも首輪を付けようとするルルーシュの腕を掴む。 「待ってってば!僕そんな趣味無いしッ!」 「なっ・・・!ユフィお嬢様に失礼だぞッ!」 え、ユフィの趣味なんだ。 「あぁ、もうこんな時間!ちゃんとお前の散歩をしないと、怒られるのは俺なんだぞッ!」 涙目になりながら叫ぶ。 「ユフィは何で僕の散歩を強要するのかな?」 素朴な疑問。 「運動不足にならないように!だろ!!」 「ふーん、運動不足・・・」 にやり、と笑う。 予想通りの解答。 首を傾げるルルーシュ。 悪戯心が頭を埋め尽す。 「ねぇ、ルルーシュ。散歩しようか?」 「よし。じゃあ首輪つけろ。」 「え、ルルーシュが着けてよ。」 「仕方ないな。」 そう言い僕の前に膝をつき、ベルトを止めようと両手を後ろに回す。 まるで、抱きつくような格好で悪戦苦闘しているものだから、僕の悪戯心は尚も膨れ上がるばかり。 「ひゃあ!?」 両手でルルーシュの胸を探ると上がる高い声。 「可愛い声出すんだね」 初めて聞く幼馴染みの声に、悪戯はヒートアップする。 「やややや、やめろッ!!」 「どもってるよ、ルルーシュ」 「うるさいッ!!」 なんとか首輪を付けられたのか、カチャン、と金属がぶつかる音がした。 「出来たみたいだね?」 偉い偉い、と頭を撫でてあげると嬉しそうに微笑む。 普段は見せない愛くるしい顔に頬を緩めながら 「じゃあ、ご褒美をあげないとね」 と悪戯のシナリオを進める。 「へ?ふぁあ・・・!」 逃げられないように片手を腰に巻き付けて、もう片手でスカートの中に手を入れ太股を優しく撫でる。 「カンジ易いんだね、ルルーシュ。可愛い。」 動きやすくするためか、はいているスパッツを脱がそうとすると、流石に静止の手が入る。 「だめだッ・・・・!」 必死に頭を振り涙目で訴えるが、逆効果。 そんな顔で言われたら止まるモノも止まらないって。 「うん。コッチも無理そう。」 立ち上がった僕の分身をルルーシュの膝に擦り付ける。 「・・・・・!?」 信じられない、と言う顔をしながら逃げようとするルルーシュを押し倒す。 「逃げちゃだめ。」 両手をベッドに縫いつけ片足を上げる。 「やッ、やめろ、スザク・・・!」 初初しい抵抗。 もしかして。 「ルルーシュ、もしかしてハジメテ?」 「あたりまえだ!!」 涙目で叫び顔を真っ赤にさせている。 「ふぅん。・・・コッチも?」 太股を撫でていた指を後腔に這わせると、小気味良い音と衝撃が頬に来た。 ばちーん! 「!?」 がばっ、と起き上がる。 「びっくりした。起こす前に起きるなよ。」 クスクスと笑うルルーシュは何時も通りで、眼鏡なんか掛けてないし、ましてやメイド服なんか着てもいなかった。 当然と言えば当然、着ているのは制服で。 ほっとした、より、残念、の方が大きくて、朝から大々的に溜め息をついた。 「良く分からないやつだな、でも」 ルルーシュは笑いを堪えるように口許に手をやりながら 「元気そうで何より、だ。ソッチもな。」 そう言い残し部屋から去って行った。 ルルーシュが去った後、残された台詞に首を傾げる。 そして違和感に気付いた。 「わあああッ!!」 そ う い う こ と か ! +++++++++++ 【2008/7/18】 朝から元気な枢木さん。 まだ友達以上恋人未満、な彼等を書いてみました。 きっと枢木さんは欲求不満ぎみなんだろうな、と。 遅くなりましたが、絵からの派生SSです。 →back?