+++sepia+++

*一時の迷い

 

 

「おぃ、スザク!起きろ!お散歩の時間ですよッ!」


シャッ、とカーテンが勢い良く開く音と共に朝日が舞い込む。
そうか
昨日はルルーシュの家に泊まったんだっけ。
片思いの人に起こされるなんて、幸せだ!と思いながら声の主に視線を向ける。
「・・・?」
見慣れぬ眼鏡を掛けた友人。
思わず浮かんだ疑問符と質問。
「ルルーシュ、その格好、何?」
凄い威力だ・・・いやいや、そうじゃなく。
「ただのメイド服じゃないか」
そして、その次の言葉にまた驚く。
「ユフィお嬢様デザインの」
「・・・!?」
「何を驚いている?」
それより、起きたらまず挨拶!とたしなめられて
「お、はようございます?」
ぎこちなく挨拶をする。
何かが何時もと違う。
否
何もかもが何時もと違う。
眼鏡を掛けたメイドなルルーシュ。
ユフィを「お嬢様」と言うルルーシュ。
そして手に持つアイテム。
これは・・・、
「ほら、お散歩に行きますよ」
手に持ったそれを僕の首に掛けようとする。
「ちょ、ちょ、ちょっと待った・・・!」
静止をかけると怪訝な顔をされる。
その顔をしたいのは僕なんだけど、という言葉は飲み込んで、取り敢えず質問することにした。
「お散歩って!?」
「日課だろ」
なおも首輪を付けようとするルルーシュの腕を掴む。
「待ってってば!僕そんな趣味無いしッ!」
「なっ・・・!ユフィお嬢様に失礼だぞッ!」
え、ユフィの趣味なんだ。
「あぁ、もうこんな時間!ちゃんとお前の散歩をしないと、怒られるのは俺なんだぞッ!」
涙目になりながら叫ぶ。
「ユフィは何で僕の散歩を強要するのかな?」
素朴な疑問。
「運動不足にならないように!だろ!!」
「ふーん、運動不足・・・」
にやり、と笑う。
予想通りの解答。
首を傾げるルルーシュ。
悪戯心が頭を埋め尽す。
「ねぇ、ルルーシュ。散歩しようか?」
「よし。じゃあ首輪つけろ。」
「え、ルルーシュが着けてよ。」
「仕方ないな。」
そう言い僕の前に膝をつき、ベルトを止めようと両手を後ろに回す。
まるで、抱きつくような格好で悪戦苦闘しているものだから、僕の悪戯心は尚も膨れ上がるばかり。
「ひゃあ!?」
両手でルルーシュの胸を探ると上がる高い声。
「可愛い声出すんだね」
初めて聞く幼馴染みの声に、悪戯はヒートアップする。
「やややや、やめろッ!!」
「どもってるよ、ルルーシュ」
「うるさいッ!!」
なんとか首輪を付けられたのか、カチャン、と金属がぶつかる音がした。
「出来たみたいだね?」
偉い偉い、と頭を撫でてあげると嬉しそうに微笑む。
普段は見せない愛くるしい顔に頬を緩めながら
「じゃあ、ご褒美をあげないとね」
と悪戯のシナリオを進める。
「へ?ふぁあ・・・!」
逃げられないように片手を腰に巻き付けて、もう片手でスカートの中に手を入れ太股を優しく撫でる。
「カンジ易いんだね、ルルーシュ。可愛い。」
動きやすくするためか、はいているスパッツを脱がそうとすると、流石に静止の手が入る。
「だめだッ・・・・!」
必死に頭を振り涙目で訴えるが、逆効果。
そんな顔で言われたら止まるモノも止まらないって。
「うん。コッチも無理そう。」
立ち上がった僕の分身をルルーシュの膝に擦り付ける。
「・・・・・!?」
信じられない、と言う顔をしながら逃げようとするルルーシュを押し倒す。
「逃げちゃだめ。」
両手をベッドに縫いつけ片足を上げる。
「やッ、やめろ、スザク・・・!」
初初しい抵抗。
もしかして。
「ルルーシュ、もしかしてハジメテ?」
「あたりまえだ!!」
涙目で叫び顔を真っ赤にさせている。
「ふぅん。・・・コッチも?」
太股を撫でていた指を後腔に這わせると、小気味良い音と衝撃が頬に来た。





ばちーん!





「!?」
がばっ、と起き上がる。
「びっくりした。起こす前に起きるなよ。」
クスクスと笑うルルーシュは何時も通りで、眼鏡なんか掛けてないし、ましてやメイド服なんか着てもいなかった。
当然と言えば当然、着ているのは制服で。
ほっとした、より、残念、の方が大きくて、朝から大々的に溜め息をついた。
「良く分からないやつだな、でも」
ルルーシュは笑いを堪えるように口許に手をやりながら
「元気そうで何より、だ。ソッチもな。」
そう言い残し部屋から去って行った。



ルルーシュが去った後、残された台詞に首を傾げる。

そして違和感に気付いた。

「わあああッ!!」





そ う い う こ と か !


+++++++++++
【2008/7/18】
朝から元気な枢木さん。
まだ友達以上恋人未満、な彼等を書いてみました。
きっと枢木さんは欲求不満ぎみなんだろうな、と。

遅くなりましたが、絵からの派生SSです。



→back?

 

inserted by FC2 system